現在、iPS細胞に関しては国家プロジェクトとして研究が進み、ものすごい勢いで研究、臨床応用が進んでいることを前回まで述べてきました。
その細胞を用いた臨床応用を各科の医師達が進めているわけですが、じゃあ京都大学の山中先生はどんなことをやってられるのか。
一番大きい仕事は、どうやらiPS細胞のバンクを作る仕事のようです。
人の体は、自分と自分でない物を識別する、免疫という働きを持っています。
よく臓器移植の時に、移植可、不可の判定を行って、より組織適合性の良い患者様のマッチングを行っているのは、この免疫のためです。
ところが、皆さんご存知のように、最も一般的かつ古くから存在する臓器移植、「輸血」を考えてみてください。
基本、A,B,O,ABとRh+、-の組み合わせ、全部で8通りの組み合わせで輸血を行いますが、細かな組織適合性などは調べません。
簡単に言うと、臓器によってずいぶん免疫の寛容の度合いが違うのだということなのです。
iPS細胞の基本構造を調べていくと、日本で約100家系の家族から組織を採取し、iPS細胞を培養していくと、ほぼ日本人全部に対応可能な幹細胞を用意できることが分かったとのこと。
つまり、何にでも分化可能な幹細胞であるiPS細胞のバンクが出来る日がやってくるかも知れません、と言うより、もうすぐそこか?
血液を採取したら型がわかり、数週間待つと必要な臓器が出来上がる。
そんな近未来の医学の世界を見たいような、見たくないような複雑な心境です。
再生医療と美容外科。
基礎的な話を4回続けましたが、これらをよく理解する事が、美容医療を選択して行く上で助けになると考えます。
来週からは季節に関係するお話をして行きたいと思います。
大通ビッセ前の街路樹の紅葉と、冬囲い、イルミネーション。
少し憂鬱ですが、冬の札幌も魅力的ですよ。

