前回お話しさせていただきましたが、脂肪吸引の適応は、体の一部に脂肪細胞の肥大が見られる場合であって、全身性の肥満は適応外です。
皆さん、ラーメンを思い浮かべて下さい。
丼に注がれたスープの表面に見える脂!
そう、脂肪は水よりも比重が軽く浮いています。
たとえ5000cc吸引出来ても、体重はほとんど減りません。
患者様には、脂肪細胞はスポンジのようなもので、体積はあっても重さは無いのだ、と説明させて頂いています。
実際に腹部などを切開してみると、皮下脂肪と一口に言ってもいわゆる浅筋膜と呼ばれる膜で二つの層に分かれているのがわかります。
その深い層のある部位は、腹部、腰部、大腿の内外側面、上腕の内と肩口に限られ、その部位の脂肪細胞が、特に女性は肥大しやすい事がわかっています。
そこが肥大するのが女性らしいと言えば女性らしい。
太腿の外側から臀部にかけては、ブラジルなどではむしろ膨らませたい、と言う希望の方が多いそうですが、大和撫子は、ほぼ全員が細く細く!
国民性、嗜好の違いで術式に差が出るのも美容形成外科ならでは、です。
手術は血液検査を事前に行い、貧血、肝機能障害、止血能など多岐に渡る項目についてチェック。
安全安心な手術こそ、大塚美容形成外科の真骨頂です。
手術は5ミリ以下の穴から、写真のような細い管を介して行います。
傷は小さくても長い管が皮膚の下を広く貫通する手術が脂肪吸引。
患者様のお仕事内容次第ですが、出来れば一週間程度、ゆっくり出来る時がお勧めです。
麻酔は、局所麻酔でも全身麻酔どちらでも可能。
手術をする先生の技量を試す意味で、局所麻酔の脂肪吸引を希望するのも一つの手です。
局所麻酔で患者様をあまり痛がらせず多量の脂肪を除去するのは、かなり難しい。
経験が3年未満の医師にはまず無理です。
反対に、全身麻酔だと可能。
何せ患者様が痛がりません。
しかし、そこに大きな落とし穴が潜んでいます。
ここ数年問題になった脂肪吸引事故のほとんどが全身麻酔下での事故。
誤解の無いよう補足させて頂けば、麻酔科の先生の責任では無く…。
健康な患者様を健康にお返しする。
我々美容外科医の最も気を配らなければならない点です。
次回は、実際の臨床写真を提示し、その写真の見方をお話しします。
これまた嘆かわしい事ですが、手術前後の写真で、あまりに酷いものが氾濫しているからです。
写真修正ソフトが一層、美容外科界を悪い方に導いています。
悪貨が良貨を駆逐することがあってはいけません。
拙宅の庭のアジサイアナベル。
紫陽花と言う名前は付いていますが、北米原産の花で紫陽花ではありません。
緑から白に、そしてまた緑に。
もう少し緑が濃くなると、もう札幌は短い秋の訪れです。

