先週は乳癌患者様における乳房再建の現状についてお話しさせていただきました。
今回は、ピュアグラフトと呼ばれる、高濃度脂肪注入による豊胸術の3ヶ月経過した写真を供覧してみたいと思います。
腹部から脂肪を採取し、右胸に170cc,左胸に150ccの脂肪注入を行いました。
当患者様の経過は、5月22日の札幌院ブログでも紹介させて頂いています。
上左が術前。真ん中が1ヶ月経過。2段目の写真が3ヶ月目の状態。
写真を供覧する場合、非常に緊張します。
コンピューターグラフィック全盛の時代、写真を偽造したりデフォルメして結果を誇張して表示するのは死んでもしたくない。
標準的な、全く画像処理を施していない脂肪注入前と、3ヶ月後の状態。
ほぼこれで出来上がりと思われます。
患者様には、本日、再度の脂肪注入による豊胸術のご用命を頂戴しました。
身が引き締まる思いと共に、ただひたすらに正直にやっていこうという思いを新たにした次第です。
【高濃度脂肪注入術によるリスク】
感染症、傷跡、しこり、変形
【高濃度脂肪注入術による副作用】
1.内出血
術後に内出血を起こす可能性があります。通常は2週間程度で自然に消失します。内出血は3週間程度で消失します。
2.術後の痛み
注入後は軽度の痛みが出現する場合があります。注入部の痛みは1週間程度で痛みは消失します。脂肪吸引部は1か月程度の痛みがあります。
【リスクと副作用に対する予防】
注入すると内出血をおこす可能性があります。注入時と注入直後に圧迫止血を行うことにより内出血を抑えることができます。
【注入時の痛みに対して】
注入前に患部に対して局所麻酔を行いますので注入時の痛みはほとんどありません。しかし、局所麻酔自体に痛みがあるので、痛みが心配な場合は静脈麻酔を併用します。
【感染症に対して】
高濃度脂肪注入による感染症は非常に少ないですが、万が一、感染症が起きた場合には抗生剤の内服治療を行います。症状が重たい場合には胸部の洗浄処置が必要になります。
【吸引部の傷跡に対して】
患部に対しては注入のみなので傷はできませんが、脂肪吸引を行う箇所は切開が必要になります。傷跡は通常6か月程度赤くなりますが、個人差もあります。
【しこり形成に対して】
注入した脂肪が壊死するとしこりとなります。注入の際には壊死を起こさないように専用の注入器(セルブラッシュ)を使用して丁寧な注入を行います。また脂肪の生着率を良くする目的でピュアグラフトを用いて高濃度脂肪を注入しています。
【吸引部の変形】
吸引部に十分な脂肪がある場合は問題ありませんが、十分な脂肪が無い場合には無理に脂肪吸引を行うことで凹凸などの変形を起こす可能性があるので、お勧めしないこともあります。
▼高濃度脂肪注入術https://www.otsuka-biyo.co.jp/lineup/bust/puregraft/

