本日の表題、「鼻は短い、低い、鼻の穴が見える」。
これは、モンゴロイド、日本人の鼻?と言っても過言では無い最も多く患者様から相談を受ける鼻です。
患者様にご相談を受けた後、横方向のスケッチを必ずさせて頂います。
上図で、鼻根部と言われる鼻の付け根が、僅かしか眼球の上に出ていないこと、鼻尖部と呼ばれる鼻の先が上を向いていること。また、鼻橋部と呼ばれる部位の下方向への長さが足りていないのが分かります。
こういった患者様で初めて鼻の手術を受けられる方には、迷わずL字型のシリコンによる隆鼻術をお勧めします。
シリコンの悪口ばかり仰る医師もいらっしゃいますが、シリコンほど融通が効いて扱いやすい人工臓器は他に見当たりません。
隆鼻術に用いる自己組織としては、耳介軟骨や一部、培養軟骨を用いるクリニックもありますが、自己組織ゆえの大きな欠点が存在します。
それは、必要組織量の確保と、万が一除去を希望される際の難しさ。そして身に沁みて感じるのは自己組織の親和性から来る欠点。すなわち入れた組織そのものの形がはっきり出過ぎると言う欠点です。
シリコンの場合、異物であるためシリコン組織の周囲に薄い膜が張り、それがシリコンを覆い隠します。
はっきり告白すると、シリコンの表面が多少デコボコしても皮膚表面には出てこないわけです。
ところが、耳介軟骨を使用し10年以上経過した症例などを見せて頂くと、当初は良好な鼻の形態が保たれていたものが、一部圧力などで軟骨の吸収が進み、また挿入された自己組織の周囲にはシリコンほど膜は形成されないため、ガタガタになってしまう場合があるのです。
私が除去を依頼された耳介軟骨による隆鼻術も、手術から10年以上経過した症例で、形成外科、美容外科業界ではネームバリューのある医師が執刀された症例でした。
「シリコンは商売人くさくて嫌なんだよね」
親交のある一流の形成外科医の言葉ですが、私は商売人の美容形成外科医です。
患者様が出来る限り困らないように、出来る限り安く、そして最も原状回復、すなわち元に戻せる余地を残す。
そんな手術を考える時、第一選択には間違いなくシリコンが来ると言うことになります。
もちろん、シリコンの持つ欠点は最初にお話ししますが、それを差し引いてもこれに代わるものはありません。
次回、実際の症例と具体的な手術方法についてお話ししてみたいと思います。
拙宅の庭も薔薇が盛りを終え、代わりに新枝咲きのクレマチスが彩りを添えてくれています。
二回目の薔薇まで約2ヶ月。
他の花々をご紹介できれば、と考えています。

