札幌院院長Dr.武田のブログ

都合の悪い真実2

フィラーの最大の欠点。

それは皮下のどこにその物質が入り込むか、予想がつきにくいことにあります。

そして、それは動脈という血管を塞ぎ、その血管が養っている組織を虚血状態に、最悪の場合、組織壊死にまで陥るのです。

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Werner Platzerの局所解剖学アトラスの鼻、眼球周囲の血管の走行です。

先週お話しした札幌の美容形成外科で生じたフィラーによる合併症は、隆鼻を目的とした鼻筋に対するレディエッセというハイドロキシアパタイト製剤によって引き起こされました。

この医療事故で問題になるのは、単に鼻の動脈の閉塞による鼻の組織の損傷だけではなく、逆行性に注入剤が入って、より中心側の血管から別の部位の血管にまで行ってしまった点にあります。

なんと、眼球の支配血管にまで到達し、視力の低下にまで至っています。

残念ながら、100%それを防ぐ手立ては現在ありません。

飛行機に乗った瞬間、飛行機事故に遭遇する可能性が出てしまうのと同じです。

ただ、眼球の支配動脈に達するのを防ぐ手立ては存在します。

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鼻筋を通すのに鼻背部のフィラーを注入する際、しっかりと内眼角部を押さえ、注入剤が眼の支配動脈まで逆行しないようにします。

そして、動脈の流れに逆行して注入物が入らないように、ゆっくりと遅いスピードで注入を行う。

血管を皮膚に刺した際、動脈性の血液の逆流がないか、すなわち注射針が血管の中に入っていないか確認するのは基本中の基本です。

隆鼻目的フィラーを使用されている患者様。

今までは、どんな風に注入を受けていたでしょうか。

こういった予防法に注意した注入を受けているか。

少し思い返して、考えてみてください。

次回は、もし合併症が起こってしまった場合の備え、心構えが出来ているクリニックかどうか。

それの見分け方について、お話ししてみたいと思います。

 

 

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※記事の内容・金額については掲載当時のものになります。施術の詳細については各院までお問合せください。

著者紹介

札幌院院長札幌院

武田 昇Noboru Takeda M.D.

札幌院院長 武田 昇 大塚美容外科 札幌院 ドクター武田ブログ
略歴
1990年 札幌医科大学 卒業
1990年 札幌医科大学附属病院皮膚科形成外科 入局
1993年 札幌形成外科病院 入局
1996年 旭川赤十字病院 入局
1998年 大塚美容形成外科 入局

美容形成外科歴 32年

所属学会・団体
国際形成外科学会会員
日本美容外科学会(JSAPS)正会員
日本形成外科学会会員
取得専門医
日本形成外科学会専門医
皮膚腫瘍外科指導専門医
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