札幌院院長Dr.武田のブログ

ピュアグラフト

私が美容形成外科の世界に飛び込んだ19年ほど前は、豊胸術と言えば生理食塩水入りシリコンバッグが全盛の時代でした。

シリコンジェルバッグの発がん性が叫ばれ、シリコンジェルバッグが下火となり、かと言って脂肪注入も石灰化という欠点を伴っていたたため、ほぼ生理食塩水入りバッグで決まりという時代でした。

治療者としては、ある意味、一番楽な時代でした。

なぜなら、ほぼ選択の余地なしに、全てこの治療に誘導すれば良かった、ので。

しかる後、シリコンジェルと乳がんの発生の因果関係が否定。

新たに、壊れてもバッグの内容物が自然と吸収されると言うCMCなるバッグの登場。

脂肪注入の技術で、生着率を向上させる新たな技術革新が登場。

混沌の時代の到来です。

「豊胸術で、これ、と言う決め手は無いんだよね」

経験豊富な医師揃いの大塚美容形成外科医師団の中でのボヤキににも近い呟きです。

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ただ豊かな胸に憧れる。

これはかなり普遍的な女性の憧れ。

これに対処できなければ美容外科とは言えません。

臨床写真は、約10年前にCMCバッグによる豊胸術を受けた女性。

右側のバッグが破れ虚脱して張りを失っています。

さて、どうする。

私としては、まずバッグを取り除いて、それからゆっくり考えたい。

で、患者様は?

「もう人工物は嫌。でも胸の張りを失うのも嫌」

選択した術式は、「バッグ除去、ピュアグラフト法による脂肪注入術」

バッグの除去、脂肪吸引、脂肪注入を一度にこなさなければならない、気の抜けない手術になりました。

下段の写真が出来上がりですが、まずまずの結果ではなかろうか、と思いますが如何でしょうか。

今週も、ピュアグラフトによる脂肪注入、豊胸術が目白押しです。

頑張って、患者様に笑顔をお届けしたいと思います。

【高濃度脂肪注入術によるリスク】
感染症、傷跡、しこり、変形

【高濃度脂肪注入術による副作用】
1.内出血
術後に内出血を起こす可能性があります。通常は2週間程度で自然に消失します。内出血は3週間程度で消失します。
2.術後の痛み
注入後は軽度の痛みが出現する場合があります。注入部の痛みは1週間程度で痛みは消失します。脂肪吸引部は1か月程度の痛みがあります。

【リスクと副作用に対する予防】
注入すると内出血をおこす可能性があります。注入時と注入直後に圧迫止血を行うことにより内出血を抑えることができます。

【注入時の痛みに対して】
注入前に患部に対して局所麻酔を行いますので注入時の痛みはほとんどありません。しかし、局所麻酔自体に痛みがあるので、痛みが心配な場合は静脈麻酔を併用します。

【感染症に対して】
高濃度脂肪注入による感染症は非常に少ないですが、万が一、感染症が起きた場合には抗生剤の内服治療を行います。症状が重たい場合には胸部の洗浄処置が必要になります。

【吸引部の傷跡に対して】
患部に対しては注入のみなので傷はできませんが、脂肪吸引を行う箇所は切開が必要になります。傷跡は通常6か月程度赤くなりますが、個人差もあります。

【しこり形成に対して】
注入した脂肪が壊死するとしこりとなります。注入の際には壊死を起こさないように専用の注入器(セルブラッシュ)を使用して丁寧な注入を行います。また脂肪の生着率を良くする目的でピュアグラフトを用いて高濃度脂肪を注入しています。

【吸引部の変形】
吸引部に十分な脂肪がある場合は問題ありませんが、十分な脂肪が無い場合には無理に脂肪吸引を行うことで凹凸などの変形を起こす可能性があるので、お勧めしないこともあります。

▼高濃度脂肪注入術https://www.otsuka-biyo.co.jp/lineup/bust/puregraft/

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※記事の内容・金額については掲載当時のものになります。施術の詳細については各院までお問合せください。

著者紹介

札幌院院長札幌院

武田 昇Noboru Takeda M.D.

札幌院院長 武田 昇 大塚美容外科 札幌院 ドクター武田ブログ
略歴
1990年 札幌医科大学 卒業
1990年 札幌医科大学附属病院皮膚科形成外科 入局
1993年 札幌形成外科病院 入局
1996年 旭川赤十字病院 入局
1998年 大塚美容形成外科 入局

美容形成外科歴 32年

所属学会・団体
国際形成外科学会会員
日本美容外科学会(JSAPS)正会員
日本形成外科学会会員
取得専門医
日本形成外科学会専門医
皮膚腫瘍外科指導専門医
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